「そ、そろそろ行きましょう…?」
この空気に耐えられず口から出まかせにそう言うと「どこに?」と笑顔で返された。
「今はちょうど仕事もひと段落ついてるし。よかったら、ちょっと———」
「日向さん」
振り返って…なぜかホッとした。
「……皐月くん」
また君か、というふうに藤寺先輩が笑う。
「日向さん、先生が呼んでる」
「あっ…うん。教えてくれてありがとう」
…ごめんねっ、皐月くん!
小走りで応援席の方に行く。
ちょうど100m走が始まるようで応援席は大いに盛り上がっていた。
「うおおおっ!次、真柴さんが出るって!」
「マジか!ウチのトップクラスの美人だよな〜」
「でも、彼氏いるんだろ?」
さっ、さすがというか。
やっぱり梨々ちゃんは可愛いから凄い人気者だ…!
「ふ〜ん、なるほど」

