「うわぁ、王子サマのご登場だ」
梨々ちゃんの目線の先を見ると、またまた皐月くん。
「……そういえばさぁ。七海ちゃんって皐月昴と抱き合ってたよね」
「なっ………!あれは違うって言ったじゃんっ…」
分かってるよー、と口を尖らせるもニヤニヤする梨々ちゃんにため息ひとつ。
「あっ、そろそろHRかも」
先生が入ってきて教室は静かになる。
「おーっし、みんなぁあ!
今日は体育祭だーーーっ!!」
広野先生は教卓に立つなり、そう叫んだ。
右手の握り拳をたかだかと掲げて。
そしてその体制のまま続ける。
「燃えるぞー!勝つぞー!青春するぞー!」
—————おーっ!!
このノリについていけた生徒は約5名。
もちろん私は含まれてない。
「……はぁ?」
梨々ちゃんまでもが思いっきり眉を潜めている。
チラリと前を覗くと、サラサラの黒髪が見えた。
…皐月くん、今どんな顔してるのかな。
笑ってるのかな。呆れてるのかな。

