彼の溺愛は甘い罠 ✎ღ 番外編追加



「うわぁ、王子サマのご登場だ」


 梨々ちゃんの目線の先を見ると、またまた皐月くん。


「……そういえばさぁ。七海ちゃんって皐月昴と抱き合ってたよね」


「なっ………!あれは違うって言ったじゃんっ…」


 分かってるよー、と口を尖らせるもニヤニヤする梨々ちゃんにため息ひとつ。



「あっ、そろそろHRかも」


 先生が入ってきて教室は静かになる。



「おーっし、みんなぁあ!
 今日は体育祭だーーーっ!!」


 広野先生は教卓に立つなり、そう叫んだ。

 右手の握り拳をたかだかと掲げて。

 そしてその体制のまま続ける。


「燃えるぞー!勝つぞー!青春するぞー!」



—————おーっ!!



 このノリについていけた生徒は約5名。


 もちろん私は含まれてない。



「……はぁ?」

 梨々ちゃんまでもが思いっきり眉を潜めている。

 

 チラリと前を覗くと、サラサラの黒髪が見えた。


 …皐月くん、今どんな顔してるのかな。


 笑ってるのかな。呆れてるのかな。