彼の溺愛は甘い罠 ✎ღ 番外編追加







「————だって、私…この顔のせいで…」





 ガタン。





 アナウンスが入って、駅に到着した。



「あっ、着いたねっ…行こうっ」


 皐月くんの顔もろくに見ないまま、早足で電車を降りる。


 駅には、雅月高校の生徒もいた。


 体育祭当日だからか、手作りメガホンや普段よりアレンジされた髪型で仲良く写メを撮っている女の子達が向こうにいる。



 ここらへんで皐月くんとは別れといたほうが良さそうだ。




 私は振り向いて電車を降りてくる皐月くんに、


「じゃあ、またね。バイバイ」


 と早口でまくしたてると小走りで改札を出た。



 …ぅわあ…。皐月くん、私のこと感じ悪いって思ったかな…。


 でも完全に油断していた。

 皐月くんの前でメガネを外してしまうなんて。


 私の顔を見て、可愛くないって幻滅したかな…。




 いや、というか、私の顔なんて興味なかったかも。

 うん。私からしてもその方がいい。