セジョウ





「上月…くん?」


「重い男は臆病だから、まずはたっぷりと相手を甘やかすんだ。自分から離れていかないように、まるで洗脳するように」


絡められていた指がするりと私の手のひら
全体を包み、強く握られる。



「洗脳が完了したら、次は自分からたっぷりと甘えるんだ。洗脳が覚めないように、毒を塗るみたいに。愛を囁く」


上月くんが少しだけわたしににじり寄る。



「愛しているだけ心配だから、邪魔だと思うものを排除したくなる。でもそんなことしたら愛する人が傷つく。だから、愛する人を縛る。制限する」



だんだん熱を帯びていく上月くんの瞳。
囚われて逃げられない。