「自分のことだけを見てもらうにはどうすれば。愛する人の心から自分以外を消すにはどうすれば。そんなことばかり考える。そしてまた不安になって、所有印をつける」
夕日がだんだんと存在を消し始めた。
わたしが好きだったオレンジ色の熱は
上月くんの瞳に吸い込まれていくみたい。
「離れたくなくて、離したくなくて、好きで好きで、常にどうしようもない愛を注いでしまう。だから…」
「……上月くん?」
そこで、上月くんは言葉を止めた。
伏せられた瞳は少しだけ震えている。
「だから…重いと言われてしまう」
悲しそうな声がぽつりとこぼされた。


