「ウハハ、今のうちだ。
ゴリよ、コイツにするぞ。」
「・・いいのか?
ホントに俺が適当に声掛けた子で?」
「な、なんでしょうか・・?」
「お前、死んだ魚みたいな目してるなぁ?」
「!!?」
「ウハハ!だがゴリが、原宿に群がる女達の中からお前を選んだんだ。
お前を【No.7】にするぜぃ?
気が向いたらその紙に書いてある番号に連絡しろ。」
「キョウコ~!ヤバい3万ゲットした!
・・・ってあれ・・?
イッセイは?ゴリさんは?」
「・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・。」
「え!?もしかして帰っちゃったの!?
ウソ~まだ写真撮ってもらってなかったのに~!!」
“死んだ魚の目”
イッセイから言われた言葉が心に突き刺さる。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
どうして・・どうしてバレたの・・?
浦島先生にも、学校の友達にも、
店長さんにも、シェフさんにも、
ホールリーダーさんにも、
クルミちゃんにも・・
みんなの前で被っていた仮面。
その仮面の奥の瞳を見られた・・
・・そんな気分になった・・。
「ヤバーい!結果的に財布落として良かったねキョウコ!」
「・・うんっ!そうだね!」
戻ってきた財布。
その中へ・・
クルミちゃんに気付かれないように・・
ゴリさんから渡された、
手書きの名刺をそっと入れた。
第5章 完



