「質問は1つだけなんだ。
気を悪くしたら本当に申し訳ない。」
「すぐ終わるんだったらいいですよー?
なんですか?」
声を掛けられた側だけど、
人見知りの反対・・人懐っこいクルミちゃんのほうがグイッと前に出る。
「え~っと・・
いやホントに気を悪くしたらごめん。
でも決して怪しい者では・・。」
「いいからなんですか~?」
「あの・・私も大丈夫ですよ。」
「君たちって・・【処女】かな?」
「「!!?」」
足が動いたのは同時だった。
バイト中も息の合った連携で、
お客さんを捌き続けてきた仲だから、
クルミちゃんとは、
いざという時の阿吽の呼吸も取れる。
“この人、ヤバい人だ!!”
そう感じたクルミちゃんと手を取り合って、
クレープが落ちないようにそこから逃げ出す・・!!
「ちょっと何あれ!?」
「どうしよう・・警察に行ったほうがいいかな・・!?」
東京には変な人もいっぱいいる。
そういう前情報はもちろん知っていたけど、こうやって遭遇するのは初めてだった。



