『星野さん・・・』


「あ・・ご主人・・。」


関本主任の言葉に甘えて、
帰宅の途につく中、

電信柱の影に今回の被害者が立っていた。


『妻を逮捕してくれたんですね。』


「はい。あなたが証言してくれた“スリッパ”が決め手になりました。」


『良かったです・・。

アイツが・・アイツらだけの独り勝ちにならなくて・・。』


「はい。明日以降は、共犯者の勅使河原先生の着手に移ります。」


『ありがとうございました星野さん。
こんな俺を信じてくれて・・。』


「・・・・・。」


『あの・・相棒さんの・・。』


「豊川さんですか?」


『成仏する前に・・

豊川さんにもお礼が言いたいのですが、もう帰ってしまいましたか?』


「・・・・・・・いえ。

さっき“私はこれで帰ります”と言ってましたが、まだ署に残ってるはずです。

きっと・・一人で屋上に居るはずです。」


『行ってきます・・。

星野さんと違って、すごく冷酷な視線を向けられていた気がするけど・・

俺の話を聞いてくれた豊川さんにもちゃんとお礼を・・。』