-----------------------

「いやぁ~三井さん。
娘さん本日も素晴らしい演奏でしたね!」


「ありがとうございます。」
「・・・・。」


「もう県内じゃ敵無しですね!

まさに彗星の如く現れた天才少女。

これは全国・・
いや!世界も相手に出来ます。」




「あの・・・。」


「ん?どうしたキョウコちゃん?」


「私・・載りたくないです・・。」


「え!?・・いやいや来月号の表紙、

ぜひキョウコちゃんがトロフィー持ってる写真で飾らせてよ~?ね?」


「・・イヤです・・・。」


「・・・ど、どうして?」


「・・お母さんに聴いて欲しかったから頑張っただけで・・

おっきい場所でお母さんに聴いて欲しかっただけだから・・

だから・・載りたくないです・・。

載らなきゃいけないんだったらトロフィー返します・・。」



「ちょ・・ちょちょ。」


「田中さん。」


「あ、はい。」


「娘にはこの先もずっと、
ピアノを楽しんでもらいたいんです。

だからキョウコが嫌がる事はやらせたくありません。

だから、もしピアノが嫌になったら、
明日にでも辞めさせるつもりです。」


「え・・・・。」


「ごめんなさいね田中さん。

だから表紙も他の子で!
・・キョウコ行こっ!」


「うん!」



「あ・・ちょっと三井さ~~ん!」

-----------------------