第2章





    三井 キョウコ
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「これが“ド”。」


「ど~!」


「これが“レ”。」


「れ~!」


「これが・・・
“ミ”“ファ”“ソ”“ラ”“シ”“ド”。」


「まってまって!はやいよ~!」


「アハハハ!」

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「・・スッ・・スッ・・。」


「キョウコ・・どうしたの?」


「・・スッ・・ヤダヤダ!
おかあさんといっしょじゃなきゃヤダ!」


「大丈夫。
いっぱい練習してきたじゃない?

お父さんと一緒に席から見てるから。」


「・・スッ・・スッ・・。」


「いい?キョウコ。

今日の発表会の為にずっ~と頑張ってきたのはどうして?」


「・・スッ・・スッ・・・・
ピアノが・・スッ・・すき・・。」


「・・・・・・。」


「・・・おかあさんに・・・・
スッ・・スッ・・きいてほしいから。」


「うん、じゃあキョウコ。
ギューッとして。」


「・・・スッ・・スッ・・。」


「・・・大丈夫。
一人でもちゃんと弾ける。

だから楽しんでキョウコ。

こんなおっきい場所で、たくさんの人の前で弾けるなんて楽しまなきゃ損だよ?

だからもう泣いちゃダメ。」


「・・・・・・うん・・。」

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