霊視刑事 星野ヨシヒト 
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「それはなんですか?」


「酢豚弁当です。」


「お若いのに通なチョイスをしますね。」


「そういう豊川さんは相変わらず、
“元気飯”のカツ丼ですか?」



久し振りに貰えた休日。
特に予定も無かったけど・・

豊川さんに誘われて、
僕達は久し振りに新幹線に乗っていた。


相変わらず食欲不振の豊川さんはタッパを取りだして、一口だけカツ丼を胃に納めて、

僕は遠慮無く豚肉から頂く。



「それにしても意外な趣味ですね。

豊川さんが“ピアノ”を聴きにわざわざ県外まで行くとは・・。」


「ピアノに対して興味はありませんが、
弾く人に少々興味がありましてね。」


「誰か有名な人が出るんですか?」


「キョウコさん・・覚えてますか?」


「キョウコ?・・・え・・
もしかして元fi☆veの?」


「彼女がエントリーしているとの噂を耳にしたので拝聴してみようと。」


「懐かしいですね・・。
あのソマン未遂事件・・。」


「まだ世間にはあまり知られていないようですが、どうやらfi☆ve卒業の本当の理由は、

ピアニストへの挑戦だったようです。

0次審査、一次審査、二次審査は、
順当に進んだそうなので、

今日の最終審査で勝ち上がれば、

日本代表としてクラベルジットコンクールに出場ですよ。」