僕の銃声に驚いて・・
足を滑らせた・・?


関本主任の解説と、ついさっき繰り広げられた光景は少し違う気がする・・。


なんだろう・・確かに発砲音に反応はしてくれたけど、

古河は何か・・どこかからの圧力を受けて勝手に1人で転んだ・・

って言ったほうがしっくりくる気がする・・。




「あ~星野君。」


「わっ!びっくりした・・・。」


背後を振り返ると、いつものように、今にも死にそうな病人と見間違えるお方が立っていた。


「お手柄でしたね。」


「いつからいたんですか?」


「あ~・・イッセイ君の“俺を信じろ”のくだりぐらいです。」


「そうですか・・・。」


「到着が遅くなりすみません。
これで一件落着ですね。」


「あの豊川さん・・。」


「はい。」


「と言うことは、僕が天井に向けて発砲したくだりも・・?」


「はい見てました。

銃声は相変わらず心臓に悪いです。
おかげで今夜は眠れそうにありません。」


「豊川さんから見ても、古河は僕の銃声に驚いて転んだんでしょうか・・?」


「・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・?」


「1つ訂正をさせて頂かなければいけませんね。」


「・・・・・・。」


「“はっきり申し上げて私は嫌い”
と申し上げましたが、

今回ばかりは感謝しかありません。」


「え~っと・・・
何の話でしたっけ・・?」


「・・・・・・・・・・・。」



・・・・??

仲間の皆が入り乱れるステージに向けて・・豊川さんが深々とお辞儀をした。

その視線の先には、
何もない“空気”・・。



「星野君。」


「あ、はい。」



「・・・・・・いえ、
なんでもありません。」






最終章 完