最終章





霊視刑事 星野ヨシヒト 
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「・・・そうですか。
どうもありがとうございます。」


また“空気”に向かって、被害者2人の写真を見せ終わった豊川さんが目配せをして歩き出す。


「今の死者さんは何て言ったんですか?」


「事件とは関係ありませんが、茶髪君と坊主君を見た事があったそうです。」


「・・・・・・。」


「『激しい言い争いをしていた。』
と証言してくれました。」


「え・・あの2人がですか?」


「いえ、あの死者の証言から推察すると、fi☆veのファン同士での諍いです。

茶髪君と坊主君が・・
あの天然の子は何番でしたっけ?」


「ヨンちゃんです。」


「ヨンさん推しのファン軍団と衝突したそうですが、どうもあの2人は“熱狂的”というより、

“過激”なファンと表現したほうがしっくりきそうです。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「どうしましたか?」


「僕も少し考えてた事があって・・。」


「伺いましょう。」


「もし被害者の2人がソマンの“実験台”で殺されたとして、

犯人はどうしてあの建設現場に2人が居たことを知っていたんでしょうか・・?」


「・・・・・・・・・・・。」


「“関係者以外立ち入り禁止”の看板を越えて、

現場の中に入っていかないとあの2人は発見できません。

“たまたま見かけたから”という理由では無いような気がします。」