「違法捜査ギリギリの行為なので滅多に使う事はありませんが、今回は致し方ありません。
星野君にはほとんど視えないかもしれませんが、
“いつもそこに居そうな地縛霊”や、“いつも徘徊していそうな浮遊霊”の中から、
私達と対話してくれそうな死者を探します。」
「僕達に協力してくれそうな死者・・
どうやって見分けるんですか・・?」
「こればかりは口で説明するのが難しいですが・・死者の中にもいくつか種類があります。
星野君は心霊動画や心霊写真を見たことはありますか?」
「勿論です。今でも夏の風物詩としてテレビでたまに特番やってますから。」
「恐らくほとんどが“作り物”だとは思いますが、
背後に映っていたり、
鏡に映っていたり、
突然扉が閉まったり、
公園のブランコが揺れていたり、
魂が抜けて無機質になったはずの霊が、
現世に影響を及ぼす、
“タブー”を犯す場合があります。」
「・・・・じゃあもしかして、“本物”が映ってる場合もあるんですか・・。」
「そういう死者が狙い目です。
雑な言い方をしますが、彼・彼女らはいわゆる“構ってちゃん”のようなタイプの霊です。
こちらが求めれば、
嬉しそうに協力してくれるでしょう。」
「なるほど・・。」
「はっきり申し上げて私は嫌いですけどね。
死者は死者らしく、
大人しくしているべきです。
ポルターガイストなんかもそうですが、彼・彼女らは現実世界に干渉すべきではない。
よほど強い“想い”があってこそ、
死んでも尚、無機質になっても尚、
物を動かしたり、カメラに映ったりと、
不可能を可能にするのかもしれませんが、
悪趣味極まりないです。」
傍から見たら、“空気”に向かって豊川さんが被害者の写真を見せる。
僕も視えていないから、
豊川さんを“通訳”として会話をする。
有効な目撃証言はないか、
“空気”に向かっての聞き込みが始まった。



