充実感溢れる良い表情を浮かべた長くんとは対照的に、

刑事課の部屋まで戻ると、関本主任が苦虫を噛み潰したような渋い表情を浮かべていた。


「テツさんダメだ。

言われた通り被害者の2人を洗ってますが、

“どこにでもいる普通の大学生”と、
“どこにでもいる普通の社会人”です。」


「そうですか・・・。」


「被害者を見聞きしている人物への聞き込みは続けてますが、あのなんだっけ・・

あのチンチクリンなユーチューバー。」


「イッセイですか?」


「そうそれ。そいつが作った“なんとかなんとか”ってアイドルの、

熱狂的なファンって事ぐらいしか特筆する点が無いです。」


「・・・・・・・・・・・・・。」





「あ、そうだ星野。
長野が死因を特定したって?」


「はい。初見で長くんが指摘した通り、テロを企てている可能性が濃厚となりました。」


「ちっくしょう・・大事が起きる前に、
県警に掛け合って応援を頼むか・・。」




「・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・。」





「・・豊川さん?」
「テツさん?」


そのへんのお年寄りよりも前屈みな猫背が・・・段々と垂直になっていく。

と同時に、眉間に寄せられたシワがどんどん増えていく。