「・・・ゴリさん・・?」


「ずっと・・弾いてたのか?」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・一晩中・・・
ぶっ通しで弾いてたのか・・?

楽譜も無しに・・8時間以上もそうやって弾き続けてたのか・・?」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・!?・・キョウコ!!!」



もうこの子は、
死んだ魚の目なんかじゃない。

爛々と輝いたその目が“ニコッ”と笑みを浮かべた瞬間、

張り詰めた線が切れたかのように崩れ落ちた。


「・・・キョウコ!大丈・・・・。」


「・・・・・・・zzz・・・・・。」


「・・フッ・・そんな汗だくでぶっ倒れたら、風邪引くぞ?」



若干、人目が気になったが・・
格好としてはお姫様抱っこの形で、

外で待たせていたタクシーに再び乗り込む。








「「「「「「あ!ゴリさ・・
・・キョウコ!!!!」」」」」」


「マネージャーと言えども、これ以上の接触は完全にハラスメントになるから、

君たちでとりあえず着替えさせてやって。」



心配しながら俺の到着を待っていた6人を安堵させた後、

腕の中で穏やかに眠り続ける“天才”の身柄を引き渡した。






第10章 完