「・・・・・・・・・・・・・。」


ほとんど毎日通っている場所は、電気がついていない事なんて何の障害にもならなかった。


“ガチャリ”

廊下を進んだ先、そのまま・・いつも私達が使っている第2スタジオの扉を開ける。



「・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・。」



“シン”と静寂に包まれる空気。


目の前に・・いつも河内先生が座る椅子。

屋根は相変わらず開けっ放しで、
“YAMAHA”の文字が光る黒い物体。


昨日までの躊躇が嘘のように、
鍵盤蓋を開けた。


「・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・。」


“シン”と静寂に包まれる空気。
非常灯の明かりしか無い暗闇。


ここまで来たのに、イスに座れない躊躇。




「・・・・・・


「ウハハ。」


「!!?」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・イッセイ・・・・・。」


「なんだキョウコよ。

20歳過ぎた途端、
こんな時間まで夜遊びか?」


「・・・・こんな所・・。」


「“こんな所で何してるの”

それは俺に対する質問か?
それともてめぇの心に向けた質問か?」


「・・・・・・・・・・・・。」