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「なるほど・・。
“トイレに行ったこと無い”
って設定か・・。」
「何してるんですか?」
「あ、キョウコちゃんお疲れ様です。
今、“ももち”の動画見て勉強中です。」
“ヨン”さんは、一番真面目だった。
天然キャラを演じている実は真面目な女の子という設定通り、
イッセイがfi☆veの癒やし系として指名したヨンさんは、
ホントに“真面目”という言葉がよく似合う、飽くなき探究心を持つ人だった。
「イッセイはやっぱり凄いよ・・。
あの数秒の自己紹介だけで、
“何とかして目立たなきゃ・・!”
って思って見事に空回りした私の事、
全部見抜いたんだもん。」
<ヨンはぁ、みんなのヨンだからねっ♡>
「でも頑張らなきゃ。これが私の生きる道って決めたんだから。」
<え~?ヨン、おトイレ行った事ないから分かんなぁ~い。>
私達の動画に限って、ゴリさんじゃなくてイッセイが編集作業していると教えてもらった。
イッセイは宣言通り、ヨンさんが画面の中央に来て口を動かす度に、
{※この子はイッセイに命じられて、
無理矢理このキャラを作っています}
と字幕を出している。
「だからキョウコちゃん。
一緒に頑張りましょう。」
「・・・え?わ、私もですか!?」
・・・見習わなきゃ・・・。
誰よりも真面目で、
いつもビッシリとノートに記録・出来たこと出来なかったこと・教えられた事をメモして、
いつも一番最後に眠るのに、
睡眠不足なんて微塵も感じさせないヨンさんの姿勢を見ていると、
心の奥底に隠していた“努力”が・・
少しずつ顔を出し始めた気がした。



