―――――― 


「キョウコ!もっとそこは左足力強く!
腕の振りも甘いよ!!」


「はい・・!」


「みんなももっともっと!
まだ疲れる時間じゃ無いよ!!」



“ニ”さんは、一番ストイックだった。


グループで一番のダンス経験者。

イッセイがfi☆veの切り込み隊長として指名したニさんは、

物腰柔らかいお爺・お婆先生達の代わりに、

このグループに良い緊張感と、1つ1つのレッスンの大切さを背中で教えてくれた。


HipHop系のダンスをずっと続けてきた二さんにとって、

fi☆veの楽曲の振り付けは物足りなかったと思う。


でもイッセイの方針で、

一部の視聴者から“ラジオ体操”と揶揄されたダンスは変えないと言われた。



「だったらさ!私達は“プロ”ラジオ体操を目指そうよ!!」


それでも・・すぐさま二さんはみんなの顔を見渡してそう宣言した。





・・もっと上手くなりたい・・。

昨日よりも上手くなりたい。
明日を追い越して今日手に入れたい。


誰よりもストイックで、いつもレッスンが終わった後も人知れず鏡の前で1人だけ残って、

いつも一番最後に合宿所へ帰ってくる二さんの背中を見ていると、


心の奥底に隠していた“向上”が・・
少しずつ顔を出し始めた気がした。