兄弟揃って久々にゆっくりと過ごす休日。俺の体に異変が起こり始めていた。最初に気が付いたのは景都だった。
「兄さん、透けてない?」と心配そうに言う。俺は自分の姿を見て驚いた。それも、俺の体は不透明度が高い…それが透けて見えるなら相当低くなっているのだろう。
「そうか?」俺はとぼける。
「兄さん、消えないよね?」と不安そうに言う景都に心が痛んだ。
「消えないよ。」俺が言うと嬉しそうに笑った。
俺の体が透けるというのは、最悪の場合消えてしまう。それはやっぱり黙っていたい。
弟を心配させたくない俺のエゴだ。
「兄さん。俺達を置いてかないでね。」景都はそう言って部屋に入って行った…
“置いていかないでね”その言葉は俺に深く刺さった…