「そうね…ごめんなさい。」
「母さん、もう少しだけ待っててね。」
「え?」
俺は驚く母さんに微笑んで元来た道を戻った。
病院に着くと、奏悟達が泣いて喜んでいるのが見えた。無事に戻れたらしい。
俺はそっと戻ると、
「兄さん!」と奏悟達は俺の抱きついてくる。その体は見事に通り抜け壁に激突していた。
俺はガラスを通り抜けると蒼司のベッドに近付いた。
「ありがと」と掠れた声で蒼司は言う。
「良かった。」と言うと、安心した様に蒼司は目を閉じて眠った。