蒼司がICUに入って一週間。蒼司のベッドでけたたましく機械が鳴った。それは、蒼司の心臓が止まった事を示していた。俺は、蒼司のベッドから何か白い物が上に上がって行くのが見えた。
心配する弟達に見えぬよう俺は白い物を追いかけた。あれを連れ戻さないと蒼司が死ぬ…
上に行けば行くほど白い物が人の形になっていく。
「蒼司!待て、蒼司!」なかなか俺の声は届かない。
「待て!待ってくれ!」
「…兄さん?」
蒼司がやっと俺に気が付いたのは、三途の川の目の前だった。
「兄さん。どうしたの?」と蒼司が訊いてきた。
「どうしたのって、お前…」俺が言いかけた時だった…