父さんが泣き止んだのは十分後のことだった。
「夕紀。後悔してるんだ。あの時、俺は死んだ母さんの事しか頭になくて、やりたい事もあったお前の人生を俺がめちゃくちゃにした。長男だからって気を使わせて…死ぬ時すら側に居てやれなかった…最低な父親だなぁ。自分が憎いよ。」父さんは俺の机に手を置いて言った。俺は、否定したかった…違うと否定したかった…俺の声が伝われば、触れたら…全部伝えたかった。伝えたい事が沢山あるのに…
「ゆう、き?」父さんが言った。その目は俺を見ていた…
「父さん?」
「夕紀。夕紀なのか?お前死んだんじゃ。」
目を擦り俺を凝視する父さんに思わず笑ってしまった。
「本物だよ。父さん。」