「俺…蒼司をお前らを知らないうちに…」
「兄さん…」
「怖いんだよ。奏悟。最近、母さんの事を忘れてんだ。いつかお前らの事を忘れんのが!」
「兄さん!」奏悟は俺に抱きつき透けてる俺の体に顔を寄せて静かに泣いていた。
俺は奏悟に言われてやっと気付いた。長男である俺と末っ子である蒼司…
心配させたくない…そんな考えが蒼司を傷つけていたなんて思いもしなかった。
「俺、頼っていいのかな…」奏悟を抱きしめて言った。
「勿論だよ。頼ってよ兄さん…」
その言葉に涙が溢れ出した。実体はないけど、やっと泣けた自分が少し嬉しかった。
「もっと、頼るな。」俺はそう約束した。