奏悟が朝食を作る良い匂いがする。
「ん〜おはよぅ。」と次々に兄弟が起きて来る。
三男の景都。四男の祐司。五男の蒼司。
大学生に高校生。手がかかる年頃だ。父さんは海外勤務をしている。
「ねぇ、夕紀兄。来月、夕紀兄の誕生日だよ?」景都が言った。
「ん。二十だよ。酒飲む前に死んじまったな。」
そう、俺は十九で死んだ。まぁ、大学進学はしなかったけど、仕事はしっかりしてた。
「で?兄さん。自分が死んだ理由、思い出した?」と祐司は言う。
俺は首を横に振った。家族も俺のしっかりとした死因を知らないらしい。ただ、一つ分かることが、仕事中に死んだ事。
俺も、何で自分が死んだのか思い出せなかった。