俺は景都の手に触れたままベンチに座った。
「で?どうした?」と訊くと、
「奏悟兄さんと喧嘩した。」と言った。
「喧嘩?またなんで?」
「奏悟兄さんの勉強邪魔したから…」
「お前、凝りねぇな。」と俺が笑うと景都は頬を膨らませて拗ねた。
「毎年やってるな。で?今回はなんで家出?」と訊くと、
「出てけ!って奏悟兄さんが言ったから。」と景都は言った。
「ほう。ところで、何の勉強を邪魔したの?」
「試験勉強…」と景都はボソッと言う。
「はぁ。お前も大学生なんだから分かるだろ?ましてや奏悟だ。」と言うと、
「反省してます…」と景都は落ち込んだ。