俺が、砂利の袋を持って鉄骨が上がっている場所の側を通りかかった時だった。
「おい！落ちるぞ！」と声が聞こえた。
は？っと思い、上を見上げると俺に向かって鉄骨が落ちて来るのが見えた。その瞬間はスローモーションのように見えた。俺は避けようと砂利の袋を捨て逃げた。
ガシャンという音と共に俺は硬い何かに押しつぶされた。
体に痛みが走る。そっと体を見ると胸の辺りまで鉄骨が乗っかっていた。
腹が痛い。何か生温かい液体がダラダラ流れている感覚があった。
俺の名前を呼ぶ人の声が聞こえた。霞む目に映ったのは逃げるように現場から出て行こうとする新人だった…