これ以上、どう近づくというのですか。

こんなにも傍にいるというのに。


「返事しなくなっちゃった」


ユキさんの質問に、なんと答えていいかわからないからですよ。


「待つのは得意じゃなくてさ。だから。嫌ならモモから逃げて」


――逃げる暇なんて与えてくれなかった


あっと言う間に抱き寄せられ

ユキさんの胸に顔を埋め

ユキさんの体温と心音が、伝わってくる。


「ユキ、さん……」
「ん?」
「なんで」