「モモは。リュックの内ポケットに入れて、モモに見せるまでは絶対に盗られないようにしていたんだ」


キーホルダーのことモモって呼ぶと会話がややこしすぎる件。


しかし


ユキさんがそれを私に見せようとしてくれていたことも、会えない時間に私のことを考えてくれていたことも、嬉しくてたまらない。
 

どうしよう。頬が、緩む。


「ちょっとくらい怒ってもいいと思いますよ?」
「なにを」
「盗られる……ってやつです。勝手に私物触られたら気分良くないでしょうし」
「別になにをどうされても気にしないかな」


ユキさんが先輩が怒ってるところって、ちょっと想像できない。


『まあ、いっか』


で大抵のことをスルーできる力がありそうというか。


「でも。モモは盗られたくない」