――今、なんて?


聞き取ることができなかった。

でも、ユキさんがふと切なげに笑ったように見えた。


「ありがとうございます、ユキさん」
「わりと自己満足だけどね」
「そんなことないです。ユキさんの言葉に、どれだけ私が……」


どれだけ

どれだけ、私がユキさんの言葉に


「どうしたの?」
「元気もらってます。……すごく」
「それはよかった」


優しく微笑むユキさんのリュックで揺れているモモに、心の中で、話しかけた。


お前はいいね。

これからユキさんと一緒に帰ることができて。


一緒に、週末を過ごせて。


……ぬいぐるみに嫉妬。