「お待たせ」
30分ほど前に家を出たユキさんが、帰ってきた。
一人でユキさんを待つ時間は、ただただ、心細くて。
なにか考えなければと思っても、頭が働かなくて。
渡された直方体の細長い箱を見つめ、怖じ気づく。
「……これが。検査薬」
このスティックで、わかるんですか。
妊娠しているかどうか。
「判定が出る前に、一つだけ。伝えておきたいことがある」
「……伝えておきたい、こと?」
「俺の今の素直な想いを聞いてくれる」
問いかけに、頭を縦に振る。
ユキさんは
私が妊娠していたら、どう思いますか?
「モモには。自分の気持ちを大事にしてもらいたい」
――――!
「まずは。自分が幸せになることを考えて欲しい」
こんなときに優しくするのは反則ですよ。
それに、そんな、自分のことだけ考えられないよ。
「できて、たら。親に……どう、いえば」
すごく驚かれるだろう。
泣かせてしまうかもしれない。
どこか、
現実から逃げたくなっている私とは裏腹に
「モモが言えそうにないなら。そのときは。俺から話すよ」
ユキさんは、こんなにも、まっすぐで。


