はやく俺のモノになればいいのに


「なんでこんなことしたのって顔してるね。そんなの。こうすれば認められると思ったからに決まってるでしょ」


――――え?


「桃葉と俺を利用して、あいつらに取り入ろうとしたっつーわけか」


イチヤくんの言葉で、ようやく理解できた。


泉谷さんは一刻もはやくイジメから解放されたくて、騒ぎを起こした。


「バカかよ。俺らこれ以上敵にまわしても。切り札はコッチにあんだ。お前のやってることは、自分の首を締めてるどころか。場合によっちゃとどめさされるぞ」
「うるさい……! そいつが悪いの。当たり前のように愛されて。守られて。イジメられても他人のことばっかり考えてさ。イライラするくらいお人好しでバカなあんたが。ちょっとくらい痛い目みればいいと思った」
「だってさ。どうするユキ」


と朝霧先輩。


沈黙が流れる。


皆がユキさんの返事を待つ。


「罪だよね」


…………罪?


「モモの可愛さは」


なにいってるんですかユキさん。

この空気で言う台詞じゃないというか。


「モモは、ほんとに心の底から幸せそうな顔して笑うから。心が貧しい人間は。妬んじゃうよね」