はやく俺のモノになればいいのに

「だけど――黒ごまって。凄いネーミング」
「わ、私が付けたわけではないんです。元々そういうキャラ名でして。他にピーチとか、イロイロいます……!」


近い


「ピーチ?」
「ピンク色の猫、です。ほんとは……それ狙ってて」


近いです、みゆき先輩。


「そうだったんだ。悪かったかな。違うのとっちゃって」
「そんなことないです! ひとりじゃ絶対なにもとれずに泣き寝入りしてましたし。それに。今は、黒ごま推しなので」


夢、みたいだ。


遠くから見ているだけで精一杯な、雲の上の存在である先輩が、目の前にいて。

濡れた髪と顔、拭いてくれて。

いっぱい話せて。


『かわいーね』


そんなことまで言ってもらると


今が、

いちばん人生で幸せな瞬間かも……って

そんな大げさなことを考えてしまう。


少女漫画のヒロインにでもなったような気分。