はやく俺のモノになればいいのに

見る人が見たら、わかるのかな。


私には4人ともすごく上手いなって印象を抱いたとしても経験者かどうかは聞いていなければ判断がつかない。


「それも、かじった程度ではないはずだ。あいつには見えてる」


――――見えてる?


「なにが、見えてるの」
「頭の中で数秒後……いいや、数時間後の未来さえ想定して動いてやがる。最初は悠々とブロックしてきてたやつがバテ始めてからスピードをあげた。セーブしていやがったんだ」


"平気さ。俺がいなくても3人が決勝まで持ってくから"


ただサボってたわけじゃなくて

体力を、温存していた……?


「まったく。卑怯なやつだぜ」
「……すごい集中力」


こんなに応援席は騒がしいのに、まるでそのすべての音をシャットアウトしてるかのように、試合に意識を向けている。


「クズはクズでも。ただのクズではないらしいな」