はやく俺のモノになればいいのに

 ――っ!?


「女の子にこんなことしておいて謝らないってどういう神経してんですか。っていうか、水の掛け合いっ子とか中学生ですか。迷惑です邪魔です二度としないで下さい」


凄い勢いで話す実柑にポカンとする桜井先輩。


なんてことだ。


「行こ、モモ」


実柑に手を引かれ、その場を離れようとしたとき。


「モモ」


みゆき先輩が、私を呼んだ。


「ごめんね」


立ち上がると、近づいてきて


「オレのツレが迷惑かけて」


肩にかけているタオルで濡れた顔を拭ってくれた。

とても優しく。


「でも。気持ちよかったんじゃない?」


ふわふわのタオルから漂ってくる香りは、みゆき先輩の家の洗剤のものだろう。


うちのそれとは違って、たったそれだけのことなのに、意味もなく鼓動が余計にはやまる。