はやく俺のモノになればいいのに

突然のことに驚いたけれど、そんなに被害は大きくない。


「うん。全然……へいき」


ビックリした。


「うちだったら死活問題だよ」


ええっと

それは、メイクが崩れちゃうってこと?


「ははは」


笑い声が聞こえてきて視線をおとすと


みゆき先輩が、

私を見上げて笑っていた。


見上げられたのは初めて。


だって、先輩は、私よりずっと背が高いから。


「嘘だろ」
「ユキが笑ってる」


やさしいひとは

優しく笑うらしいです。


今度は、助けてくれなかった。


ゲームセンターで黒ごまをとってくれたり

食堂で声をかけてくれたときみたいには。


だけど


お兄さんの笑顔を、こんなにも間近で見れたのは、ただただラッキーで。


――ドクン


また、大きく鼓動がなっている。