「朝霧くん以外につるんでるトモダチみたことないなー」
同年代の暇をもて余しているやつらと関わる利点がわからなかった。
彼らの会話にはなんの有益な情報も含まれていなかったから。
「朝霧はガキじゃないから話していてラクなだけ」
それが、不思議とまどかの話は
どうでもいい内容だったのに耳を傾けてしまっていた。
「ほんとマセてるっていうか。ねえ。好きな子いないの?」
――――好きな子
あの子が校内で一番可愛い
あの子の胸はデカイ
俺の周りは異性への興味で溢れていた。
カップルも存在した。
誰が誰を好きという情報が聞かなくても耳に入ってきた。
だけど俺は――……
「いない」
微塵も興味がなかった。


