すると
たくさんの人が乗り込んで来る前に
ユキさんが、私の前に立った。
まもなく扉がしまり
電車が動いたあとも、やっぱりユキさんは、私と他人の間に立っていてくれた。
壁になってくれている。
「タクシー使えばよかったね」
「い、いえ。そんな。大丈夫です」
ユキさんが、守ってくれてるから。
「あと二駅で降りるよ」
「了解です」
さっきより、ユキさんと距離が近い。
「あの」
「ん?」
「ユキさんだけですからね。私」
心変わりなんてしません。
「ほんとかな」
「ほんとですっ……」
「誘われても断れる?」


