「今夜。あいつと会うのか」


電車に乗り込んだあと、しばらく無言だったユキさんがつぶやいた。


あいつ、というのはイチヤくんのこと。


「なにするの」
「わからないです。お母さんが夜までに帰れって言ってたのは、みんなでご飯食べようって流れなのかなって予想できますが」


今、用意してくれているのかも。

それとも外食かな。


「モモに気があるっぽいよね」


え?


「いや、全然そんなんじゃないですよ。イチヤくんは友達が多くて。男の子と遊ぶことが多いんですけど、私より仲いい女の子いっぱいいましたし――」
「流されやすいからなあ。モモ」