はやく俺のモノになればいいのに

「小さい頃に近所に?」
「はい」


イチヤくんは、いわゆる幼なじみというやつで。

といっても仲良かったかといわれればそうでもなく、イチヤくんは友達が多くて、幼稚園をピークに年々疎遠になっていた。


イチヤくんママと私のお母さんは繋がっていたから、バレンタインになると、お母さんが用意したチョコをイチヤくんに渡すというのがパターン化していたのを覚えている。


運動ができてみんなの人気者だったイチヤくんのことカッコいいなって憧れていて、あれが私の初恋だったと思う。


4月に実柑から"初恋"について洗いざらい聞き出されたときは、イチヤくんとのエピソードを語ったのだけれど


まさか、こんなところで再会するとは思わなかった。


だってイチヤくんはお父さんの都合でアメリカに住んでいるはずだから。