はやく俺のモノになればいいのに

面影なんてなかった。


「正解」


背、伸びすぎだし。

身にまとうオーラも声も風貌も、なにもかも違う。


だけど


切れ長の奥二重には見覚えがあった。


ありすぎた。


「モモ」

と私を呼んだのは、ユキさん。


「信号変わった」
「えっ、すみません」
「渡らないなら渡らないでいいけど。ここに立ってるのは危ない」


たしかに大勢の人が行き交うから邪魔だ。

ぶつかってしまう。


イチヤくんがユキさんをチラッと見たあと


「夜そっち行くわ」


――――!?


「またあとで」


そういうと、イチヤくんは人混みに紛れて消えてしまった。