「私の知ってるひとですか」



話したく、ないかな。


その女性のこと。


だとしたら、これ以上は――……


「モモの交遊関係を把握してるわけじゃないから100%とは断言しないけど。知らないと思うよ」
「そう……ですか」


それじゃあ同じ高校の人じゃないのかも。


「社会人」


――――!


「……おとな」
「うん」


ただでさえユキさんは遠いのに。


ユキさんが一途に想う女性は、ユキさんよりも年上だなんて。


「そんでもって。人妻」


…………え?


「新婚で。旦那のこと大好き」


家庭を持っていても、それでも、諦められないくらい――……


「誤解しないで欲しいんだけど。俺はその女性(ひと)の手すら握ったこともない」


ただ、ユキさんは、その女性のことが好きなんだ。