恭夏side


「おい!如月!」


声がした。


ゆっくりと振り返るとそこには深澤君がいた。


「恭夏、あの方はお友達?」


そう言ってお母さんが聞いてくる。


「は、はい…。と、友達です…。」


「そうか!良かったな!」


外面だけはいいうちの家族。


「ごめん、如月。待たせた?」


いつの間にか深澤君はもう私のすぐ後ろにいた。


「あ、…う、ううん。今来た所。」


「なら良かった。こちらの方々は?」


「あ、私の「私は、恭夏の父の如月賢治だ。こっちは私の妻と娘だ。恭夏の友達かな?いつも恭夏がお世話になっているな。」」


その気持ち悪い笑顔で見ないで…。


「あ、そうでしたか。失礼しました。こちらこそ恭夏さんにはお世話になっております。ところで申し訳無いのですがもうすぐ集合時間でして…。恭夏さんを連れて行ってもよろしいでしょうか?」


集合時間…?


そんなのは無かったはずだ。「…そうなのか!恭夏!はやく言えばよかっただろ!さあ、行きなさい。」


笑顔でお義父さんはそう言ってくる。


その顔が怖い。


「では失礼します。如月、行くぞ。」


「あ、…うん。」


行こうとしても足が上手く動かなくて…。


「行くぞ。」


察してくれたのか深澤君が手を繋いで引っ張ってくれた。