碧唯side


「…なあ、」


「何!?」


バス内での沈黙を破ったのは、俺からだった。


「そこまで驚く事は無いだろ」


「ごめんごめん、でどうしたの?」


「如月ってどういう子?」


気になったんだ、周りから如月がどう思われているのか。


「ん?ど、どういう意味?」


「あ〜、性格とかそういう内面的な部分でさ」


「恭夏はめっちゃ優しい!勉強とか教えてくれるし!あとはいつも笑ってるかな。あの笑顔には癒されるよ〜。」


"あの笑顔"か…。


あの笑顔で癒されるなら、俺の苦笑いでも癒されるのでは無いだろうか。


いや、それはないか…。


「でも…」


「でも?」「時々、すごい辛そうな顔をする。」


「辛そう…?どんな時に?」


「…わからない。でも、なんか自分のせいだって責めているような、申し訳なさそうな顔。恭夏は何も悪い事してないのにね。」


責めている…。


思えばそうだ。


俺が嫌いって言った時の一言目も「ごめんね」だった。


普通は「なんで?」とか「ひどいっ!」って怒ってもおかしくない。


それなのにあいつは謝った。


やはり虐待のせいなのだろうか。


でも…。


何か他にあると思うのはおかしいだろうか。