ん?


ここはどこだろう?


家ではない。


え?


どういう状況?


隣を見ると深澤君がいた。


「深澤君?」


「如月!大丈夫か!?」


「…?これはどういう状況?」


「覚えていないのか?お前、廊下で倒れたんだ。」


「…ああ、そうだったね」


体調が悪かったから、瑠姫ちゃんに保健室に行くと言って廊下に出たらなんかフラっときちゃったんだよね。


「深澤君が運んでくれたの?」


私のことを嫌いな彼がここにいる理由はそれくらいしか思い浮かばない。


「ああ、急に倒れるから驚いたぞ。」


「ごめんね…迷惑かけちゃって」


「いや、別にいいん「嫌だったでしょ?」は?」


「だって嫌いな人を運ぶのは嫌でしょ?」


「あ~、そうだっけな。」


やっぱり…。


でも、何故だろう。


彼の言い方が不思議だった。


まるで忘れていたような言い方だ。


「そのことなんだけど、ていうかお前ここのところずっと俺を避けてただろ!」


当たり前だ。


「自分のことを嫌いの人と一緒にいられるわけないでしょ」


逆に普通に話せると思っていたのだろうか。


「やっぱり勘違いしてる。」


「勘違い?」


面と面を合わせて嫌いだと言ったのは、どこの誰だったのだろうか。


「確かに俺はお前が嫌いだった。」


だった…?


「だって笑顔が噓くさいしな。」


でも、仕方ないじゃん、感情をだしたら嫌われるから。


「でも、お前は他の奴らとは違うんだよ。」


「…なんでそんなことがわかるの?」


「わかるさ、だってお前俺に媚を売ろうとしないだろ?」


なんて自意識過剰なのだろう…。


まあ、一理あるかもしれない。


彼はルックスといい育ちといい将来有望株だ。


彼に媚を売っておいて悪いことはないだろう。


私はその業界などに関わりたくないだけなのだが。


「だから、俺はお前に興味がわいたんだよ」


「私のことを知っても面白くないよ?」


知られたくない。


まあ、最も私がしゃべらなければ何もわからないのだが。


「面白くても面白くなくても興味があるものは仕方ないだろ?」


「変わってるね」


「それはお前だろ?」


ドクン


その何気ない一言に緊張する。


「で、元の話に戻ると、俺はお前のことは嫌いじゃない」


良かった?違う。


そりゃあ、ちょっとは思ったけど。


さっきの一言ですっかり心が暗くなった私が思ったことは…