黒板に書いてある窓際の席に座ると前の席に座る子が話しかけてきた。


「ねぇねぇ、名前はなんて言うの？」


とても明るい声で話しかけてくる彼女。


どこかで見た事がある、もしかして…。


染めてあるのか、地毛なのかはわからないが綺麗な茶色の髪をポニーテールに二重のぱっちりとした目。


まるで太陽をイメージさせるような笑顔だ。


「如月恭夏だよ。」


私はニッコリと笑って答えた。


「恭夏ちゃんって言うんだ！私は上枝瑠姫！よろしくね！」


やっぱり、そういう事か。


嫌いだ。


なにごとも明るく捉えるようなその表情、声。


嫌いだ。


いきなり、下の名前で呼ぶのかよ。


「よろしくね、上枝さん」


相変わらず私は笑っている。


心の内を悟られないように。


「え〜、上枝さんじゃなくて瑠姫って呼んでよ〜！なんか他人行儀じゃん！」


他人行儀って…


まだあなたにとっては出会って5分もたたない相手でしょ…


そう毒ずいていた、表には出さないけれど。


「じゃあ、瑠姫ちゃんでいいかな？」


「うん！よろしくね、恭夏！」


今度は呼び捨てか…


「恭夏さ、さっき新入生代表の言葉、やってたよね！」


「うん、確かにやったよ」


「ってことは学年首席で入ったってことでしょ！」


「そうだけど、多分受験勉強のおかげかな、入学して気を抜いたら一気に落ちちゃうだろうな…（苦笑）」


「それでもすごいよ！学年首席って！しかもここ華木学園だよ！」