「自己紹介をしてくれ」


「名前は深澤 碧唯(ふかざわ あおい)。3年間アメリカに留学していたので入学に時間がかかり、この時期になりました。これからよろしくお願いします。あっ、なんか質問がある人いますか?」


彼はけだるそうに言った。


一人の女子が質問した。


「深澤さんはどこのご子息なんですか?」


デリカシーの無い質問だな。


ご子息は確定なんだ。


「huka-zawaホールディングスの社長の息子です。」


huka-zawaホールディングスと言えば近年で最も成長している会社だ。


これはえらい人がきたな。


教室の雰囲気は高揚に包まれた。


でも次の言葉で一気に変わった。


「あと、その質問の仕方はないんじゃない?」


『え?』


「俺が`ご子息‘だから良かったけど、その他の人だったら失礼になるよ」


質問した女子が反論した。


「な、なによ!その他なんて庶民しかいないじゃない!庶民なんかがこの学校にきていいわけないじゃない!」


なにそれ。


あんたの言う庶民がここにいるんですけど…。


思わず声を出しそうになったがこらえる。


「庶民なんかだって?俺にしてみたらお前があんたなんかなんだけど」


『は?』


「お前みたいな心が滅茶苦茶汚いやつがこの学校の門をくぐっていいわけないだろ。差別発言ばっかしやがって。」


すごいな。


思ったことをはっきり言って。


憧れていないと言えば噓になる。


でも、自分を守るために言うことはできない。


言い返された女子は恥ずかしいのか怒っているのか顔が真っ赤になっている。


「まあ、そこまでにしとけ」


ここでようやく先生が間に入った。