恭夏side

班を決めた日から1日後。


朝のホームルーム。


担任の話。


「今日は転校生がいる」


こんな時期に転校生か。


『女だといいよな』


『イケメンだといいな~♪』


教室はウキウキした空気に包まれた。


「じゃあ入れ」


入ってきたのは端正な顔立ちをした男子だった。


少し気崩した制服からちょっと色気が出ているような…


大人の雰囲気をもった男子。


『チッ、男かよ』


『キャー!かっこいい!』


男子は落ち込み、女子は喜び、対して私は…。


無だった。


この男にこれから振り回されるなんて思いもよらずに。


なにも感じなかった。


運命の人だ!という直感も。


今、思えばこの時が全ての始まりだった。


私の心がとかされる始まり。