声の主は悠君だった。


どうやってあの女子達を…


そう思い女子達の方を見ると物凄い勢いでこちらを見ていた。


正確に言うと見ていたではなく睨んでいた。


怖くなり思わず背を向けた。


悠君の方はというと…


『何言ってんだよ、鈴村』


「だから全員ダメだって言ってんだよ」


『なんでだよ』


「恭夏は俺と一緒にまわるから」


女子達が睨んでいたのは、こういう理由か。


『そうなの?如月さん』


男子達の一人が訊いてきた。


恭夏は早く終わらせたかったらしい。


「そ、そうなの!みんな誘ってくれたのにごめんね。」


『なら仕方ないか…』


そういいながら男子達はトボトボと自分の席に帰って行った。


「瑠姫ちゃんは、悠と一緒でもいい?」


「全然いいよ」


「なら良かった。じゃあ、悠!よろしく!」


「…ああ。」


これだ。


私がきずいた2つ目。


悠君は恭夏が笑うと、ひどく悲しそうな顔をする。


何故かはわからない。


「上枝もよろしくな」


「…うん」


わからないことが悔しかった。


力になれないことが。


赤の他人のはずなのに。


私はなぜ彼を見てしまうのだろう。