私の次に人が来たのは、7時10分のことだった。


声をかけようか迷ったが名前がわからなかったし、勉強に集中しているようだったので声をかけなかった。


7時25分くらいになるとぼちぼち人が来はじめた。


7時35分くらいに瑠姫ちゃんがきた。


「おはよう、瑠姫ちゃん」


「おはよう!恭夏!ていうか来るの早くない!?」


「まあ、確かにそうかも。教室一番乗りだった…笑」


「はや!」


「ちょっと寂しかったっけ…」


思ってもないことをさらさら言う。


『ねえ、あれ悠君じゃない?』

『え!この学校だったの!?』


なにか廊下の方が騒がしくなってきた。


「ねえ、なんか廊下の方騒がしくない?」


瑠姫ちゃんも気づいたらしい。


「そうだね、ちょっと行ってみよっか。」


そう言って私達は廊下に向かった。



廊下に出て見ると女子の大群が群がっていた。


その先に見えたのは…


「ねえ!恭夏!あれ悠君だよ!」


私はまだ顔が見えなかったが瑠姫ちゃんは見えたらしい。


「悠君って誰?」


誰のことだろうか。


「えっ!恭夏、悠君のこと知らないの!?」


「うん」


「マジで!?テレビとか雑誌とかで滅茶苦茶売れてるモデルだよ!最近はドラマ出演もしたの!」


「へぇ〜」


その瞬間、少しの隙間から顔が見えた。




えっ…。あの顔って…。




「しかもね、悠君って鈴村大臣のご子息なんだよ!」


嘘だ…。


「もうルックスといい、生い立ちといい完璧な人間だよ!」


「…そうだね」


「…?恭夏?大丈夫?」


「あ、うん!大丈夫だよ!」


いけない、愛想笑いだよ。